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「フリーランスエンジニアはきつい」厳しい現実と向き合うための効果的な戦略
「フリーランスはきつい…」
フリーランスを志して、ネットで調べたり、先にフリーランスになった人に話を聞いたりしてみると、「フリーランスはきつい…」という話が聞こえてくることがあります。
確かにフリーランスは、収入の上限がなくなりますが、甘い話ばかりではありません。
実際に、フリーランスで会社員のときより稼げている人と稼げていない人は二極化しています。
では、どのような部分がきついと思われるのでしょうか。きついと思われる部分を先に知っておくことで準備を整えておくこともできます。
本記事では、フリーランスになる前に知っておきたい知識や、どんな人が向いているのかなどについて書きました。
最後まで読むと、フリーランスの良い部分も悪い部分も総合的に知れて、何を目指すべきかが固まるでしょう。
フリーランスエンジニアはきついとされる5つの理由
実際にフリーランスエンジニアになったときに「きつい」と感じる代表的な理由を5つご紹介します。
理由① 収入が不安定だから
会社員と比べるとフリーランスの収入はとても不安定です。
会社員は、仕事がある、ないに関わらず給与が保証されています。
一方で、フリーランスはやった分だけ収入に反映されるので、会社員よりも多く稼ぐこともできますが、仕事が1案件も取れなければ、収入はゼロになります。
さらに低単価の仕事が多いと、収入自体は会社員のときより低いのに働く時間は会社員のときよりも多くなってしまうこともあるでしょう。
やればやっただけ収入になるというメリットはありつつも、収入が不安定なことがデメリットとなります。
理由② 実績がないと仕事とれないから
フリーランスになって仕事を取るときには、どのような実績があるかが大事です。
仕事を依頼するクライアントも、応募者がどのような仕事っぷりで納品してくれるのか、その基準を知るためにポートフォリオや、これまでの実績を重要視します。
もし、そこで実績がない場合、応募者がどんな仕事をしてくれるのかもわかりません。
クライアントも、プランを立てているので、納期までに完成品が欲しいのです。
しかし、納期間近になってようやく納品された制作物に修正部分が多いと、クライアントのプランに遅れが生じてしまいます。
そのような危ない橋を渡らないために、クライアントは実績を重要視するのです。
理由③ 競合が増えて競争が激しくなったから
ITフリーランスエンジニアは年々増加していて、2021年には市場規模が1,039億円でしたが、2024年には2,000億円を超えると予想されています。
ITフリーランスの人口も、2021年は23.1万人でしたが、2024年には40万人を超える見込みがあり、競争が激化しています。
このことから、フリーランスとして単価の高い仕事を確保していくためには、市場価値が高く、ライバルが少ないスキルを身に付けていく必要があります。
そうしなければ、低単価の案件を増えてくるライバルたちと奪い合うことになるでしょう。
理由④ エラーの解決ができない
プログラミングではエラーがつきものです。
会社員のときは、自分で解決できなければ上司や仲間に相談をできましたが、フリーランスだと自分でエラーを探さなければなりません。
エラー箇所を探すのは、とても疲れる作業です。
たとえば、2時間で終わる作業を5千円で請け負ったとしたら、時給換算すると1時間2,500円になります。
しかし、エラーを探すのに2時間かかり合計で4時間かかったのなら、時給は1,250円にまで下がる計算になります。
フリーランスは、いかに高単価の仕事を効率的に行うかが醍醐味ですので、なかなか見つからないエラーなどが発生すると、精神的にキツいと感じるときもあるでしょう。
理由⑤ 完全実力主義だから
フリーランスの世界は実力主義です。
会社員ならば、できる仕事の範囲で均等に割り振られるでしょう。
しかし、フリーランスでは、難しい仕事ほど単価が高いので、単価を上げていくには幅広い知識が必要となります。
また、会社員なら仕事に間違いがあれば指摘してもらえますが、フリーランスは間違いに自分で気づけなければ、そのまま自分の信頼性に傷がついてしまいます。
実力を磨かずにいると、低単価の案件ばかりをライバルたちと取り合うことになるので、会社員のときよりも収入が下がってしまうこともあります。
フリーランスに向かない4つのタイプ
ここでは、フリーランスに向かない人のタイプをご紹介します。ひとつでも当てはまっていると、フリーランスになっても成功するのは厳しいかもしれません。
1.営業が苦手な人
フリーランスになると仕事を自分で取る必要があるので、営業が苦手だと稼いでいくことが難しいです。
会社員なら上司から割り振られる仕事をこなしていればいいですが、フリーランスになると仕事を割り振ってもらえないので、自分から営業をして仕事をとっていく必要があります。
そのため、たとえ文面であってもコミュニケーションが苦手であるとか、一般的な社会人としての言葉遣いができないと仕事を取ることもできないでしょう。
営業ができなければ1ヶ月の間に仕事が1つも確保できず、収入がゼロになるリスクがあるのもフリーランスです。営業が苦手な人にはオススメしません。
2.現状の安定に満足している人
特に会社員としての現状に不満がないようならフリーランスになる必要はありません。
現状に満足できず、収入をもっと上げていきたいという人だけがフリーランスを目指すべきです。
現状の収入に満足しているなら、わざわざ仕事が確保できなければ家賃さえ払えなくなるような危ない環境に身を置くこともないでしょう。
3.単価ばかり気にしてしまう人
フリーランスになったばかりなのに単価で仕事を選ぶ人は、フリーランスに向いていません。
実績がない状態でフリーランスになるなら、はじめは実績を積むために単価が低い案件も受けつつ、実績を積んでいくやり方が王道です。
実績がなくても単価の低い案件であれば、まかせてくれることもありますが、単価の高い案件を実績のない人にまかせることはありません。
つまり、単価で仕事を選んでいると、いつまでたっても案件を獲得できませんし、実績も詰めないのです。
はじめのうちは収入が低いことを受け入れられる人でないと、フリーランスになるのは難しいでしょう。
4.稼げるという噂だけで独立しようとしている人
「会社員以上に稼げる」という噂だけでフリーランスを目指すのは止めましょう。
勢いだけでフリーランスになると、案件が獲得できず、会社員のときよりも収入が減ってしまい、後悔をすることになります。
フリーランスになる前に自分の持つスキルが、市場でどれくらいの価値があるのかを確かめておくことが大切です。
たとえば、クラウドソーシングサービスで、自分のできるプログラミング言語の単価や応募者数などを調べてみてください。
単価が低くて応募者が多い案件は、割とスキルが低くてもできる仕事です。そのためライバルが多く、案件の獲得が難しい割りに低単価となります。
反対に、単価が高く応募者が少ない案件は、高いスキルが必要であり、需要と供給のバランスが崩れていることから、獲得しやすいといえます。
一言にフリーランスエンジニアだから儲かるわけではなく、スキルによって収入は左右されるので、需要のあるスキルを身に付けてからでも遅くはありません。
フリーランスエンジニアになって後悔する前に
フリーランスになってから、いろいろとわかってくることもあります。
そのときに「やっぱり止めておけばよかった」となっても遅いので、今のうちにフリーランスエンジニアになった人たちがどんなことに後悔しているのかを知っておきましょう。
収入が増えにくい
多くの人がフリーランスになってから思うのは、思うように案件を獲得できずに収入が増えないことです。
会社員のときよりも稼ぎたいから独立したのにも関わらず、逆に収入が下がってしまう人もたくさんいます。
フリーランスになって安定的に案件獲得したいのなら、会社員のうちに実績として提示できるポートフォリオをなるべく多く作り、市場価値の高いスキルを身に付けておきましょう。
そうすることで、独立してから後悔する可能性は低くなります。
社会的信用がない
フリーランスは収入が不安定なことから、社会的信用がありません。
そのため、「ローンが組めない」「融資を多くは受けられない」といった懸念もあります。
もし、大きな買い物(引っ越し、ローン)などをする予定がある場合は、フリーランスになる前に行っておきましょう。
自主性が必要
フリーランスになると、自主性が求められます。
なぜなら、すべての責任は自分で取る必要があるからです。
営業が足りずに固定費を払えなければ、それも自分の責任です。何かミスがあったときに、徹夜で対応してもその分の時給は発生しません。
このように自らの責任のもとで行動する必要があり、誰のせいにもできないのがフリーランスです。
さまざまな管理が必要
フリーランスになると、さまざまな管理を自分で行う必要があります。
たとえば、いくつものクライアントの案件と納期の管理。
各クライアントへの請求書の管理。
自分の体調管理やToDoの管理など。
どれが欠けていると信頼に傷がつき、収入に影響してしまうので、エンジニアの仕事以外にもやるべきことがあることを覚えておきましょう。
エンジニア以外の仕事が多い
フリーランスエンジニアはプログラミング以外の仕事も多いです。
たとえば、クライアントを獲得するための、日々の営業活動には多くの時間がかかります。
営業をしなければ、案件を獲得できないので、決して除くことのできない仕事です。
それに、クライアントは一度獲得すればいいものではありません。ずっと付き合えるクライアントはわずかなので、常にクライアント探しは続けていくことになります。
その他にも、1年に1度の確定申告も毎年自分で行う必要があります。
会社員のときは会社がやってくれていたことも、自分ですべて行う必要があるので、やることも増えてしまうのです。
フリーランスエンジニアの良いところ
ここまで、「フリーランスエンジニアはきつい」というテーマなので、フリーランスを否定しているようでしたが、やはりフリーランスには良いところもたくさんあります。
ここでは、良いところを4つ採り上げてご紹介します。
ダイレクトな評価
フリーランスでは、納品物に対してダイレクトな評価をもらえます。
会社員だと、頑張っているのになかなか評価をしてもらえない…と不満な声をあげる人も多いでしょう。
しかし、フリーランスは一つひとつの仕事を評価してもらえて、それが信用として積み重なっていきます。
いつも丁寧な仕事をしていれば、報酬額を上げてもらえたり、知り合いのクライアントを紹介してもらえたりといったこともあります。
年功序列などはなく、完全に実力主義だからこそ、努力が実る世界です。
それだけに、稼いでいる人は会社員時代の何倍も稼いでいます。
実際に、SOKUDAN調査レポートによると、フリーランスエンジニア案件数TOP5の業界と平均年収・時給は下記のとおりとなります。
順位 | 業界 | 割合 | 時給 | 年収 |
---|---|---|---|---|
1 | SaaS | 15.7% | 4,986円 | 1,005万円 |
2 | その他IT関連 | 11.1% | 5,509円 | 1,111万円 |
3 | システムインテグレータ | 9.2% | 4,900円 | 988万円 |
4 | Web制作 | 15.7% | 5,316円 | 1,071万円 |
5 | AI(人工知能) | 6.3% | 5,700円 | 1,149万円 |
こちらを参考に、これから需要が高まるスキルを習得してみてはいかがでしょうか。
時間や場所の自由
在宅フリーランスは、納品の時期とクライアントへの連絡が遅れない限り、働く時間と場所が自由です。
会社員のときは通勤に消費していた時間も作業に割り振れます。好きなときに気分をリフレッシュでき、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど作業する場所も日替わりで変えられます。
クライアントとのコミュニケーションさえできていれば、上司や同僚といったわずらわしい人間関係に気を使うこともありません。
得意な仕事が選べる
フリーランスは、自分で得意な仕事だけを選ぶことができます。
会社員だと断ってしまえば評価が下がる可能性もあるために、苦手な仕事も行う必要があります。
興味のある分野のスキルを高めつつ、得意なことで楽しみながら仕事ができたら夢のようですよね。
エンジニアのような仕事は、どんどん進化して新しいものが生み出されているので、スキルアップは大変ですが、チャレンジし続けることで、好きなことで高収入という状態を実現することができます。
ストレスが少なくなる
在宅のフリーランスになれば、通勤、会社勤めがなくなります。
満員電車、事故トラブル、乗車している人のトラブルなどを避けられますし、上司の顔色を伺いつつ、いろんな人に気を使うこともありません。
雨、雪、台風、地震などの影響も受けないので、電車が遅れて帰宅時間に影響することもなく、時間を有意義に使えます。
嫌な目に遭う確率が少なくなる分、ストレスがかなり減ります。
まとめ
この記事では、「フリーランスエンジニアはきつい」厳しい現実と向き合うための効果的な戦略というテーマでご紹介してきました。
まとめると、何となく良い噂だけを聞いてフリーランスになってしまうと、後で「フリーランスはきつい」と後悔することになるでしょう。
反対にしっかりと準備をして挑めば、フリーランスエンジニアは、収入の上限もなくなりますし、自由度も高いです。
フリーランスエンジニアとして成功するためには、会社員のときから実績として提示できるものを作っておくこと。そして、需要があり市場価値の高いスキルを習得しておくことです。