フリーランスの確定申告

フリーランスとして働いていると、会社員時代のように年末調整が行われません。そのためにフリーランスや個人事業主は確定申告をする必要があります。

これまで確定申告をしたことがない場合は、いつまでに確定申告すればいいのか?そのやり方もわからないでしょう。

そこで、本記事では確定申告の種類ややり方、節税方法まで解説しました。最後まで読むことで何をいつまでに準備するべきなのかがわかります。

目次
  1. 1. 確定申告とは
    1. 1-1. 確定申告はなぜ必要か
    2. 1-2. 青色申告と白色申告の違い
  2. 2. 確定申告を青色申告で行うための手続き
    1. 2-1. 個人事業の開業・廃業届出書
    2. 2-2. 青色申告承認申請書
  3. 3. フリーランスが確定申告をするメリット
    1. 3-1. 控除で節税できる
    2. 3-2. 還付金をもらえる場合がある
    3. 3-3. 確定申告の控えがいろいろと役立つ
    4. 3-4. 青色申告では赤字でも3年間繰り越すことができる
    5. 3-5. 青色申告で何を控除できるのか?
  4. 4. フリーランスに確定申告が必要な場合・不要な場合
    1. 4-1. 必要な場合
    2. 4-2. 不要な場合
  5. 5. フリーランスの確定申告に必要な書類
    1. 5-1. 確定申告書B
    2. 5-2. 支払調書
    3. 5-3. 青色申告決算書
    4. 5-4. 収支内訳書
  6. 6. フリーランスの確定申告のやり方
    1. 6-1. STEP1:所得を計算する
    2. 6-2. STEP2:所得控除額を計算する
    3. 6-3. STEP3:所得額から所得控除額を差し引く
    4. 6-4. STEP4:確定申告書や必要書類に記入する
    5. 6-5. STEP5:必要書類の再確認をする
    6. 6-6. STEP6:書類を税務署に送る
    7. 6-7. STEP7:所得税を納付する
  7. 7. フリーランスが確定申告をしなかったらどうなる?
  8. 8. まとめ

確定申告とは

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間の収入や経費を申告して、納める税の金額を確定するものです。

確定申告をすることで、個々の所得に適した所得税や住民税が決められます。反対に、利益が一定以上あるにも関わらず確定申告をしない場合はペナルティなども発生するので気をつけましょう。

確定申告はなぜ必要か

フリーランスの場合は、所得から差し引ける金額(所得控除額)や税金から差し引ける金額(配当金額)を差し引いてもまだ税金が残る場合は確定申告をする必要があります。

会社員など一箇所から給与をもらっている人で、その他の所得が年間20万円を超える人も確定申告が必要になります。

会社員で特に他からの収入が無い場合は、会社が代わりに納税を行ってくれているので、個人的に確定申告をする必要はありません。

青色申告と白色申告の違い

確定申告では、青色申告と白色申告が一般的です。

2つの違いは帳簿の付け方にあり、青色申告が複式簿記で帳簿をつけることに対し、白色申告では簡易帳簿になります。

白色申告は青色申告よりも手間が省けるという利点はありますが、オススメは青色申告になります。

その理由は、青色申告だと「最大65万円の特別控除」が受けられるので節税のメリットがあるからです。

65万円を所得から差し引ければ、税金を減らすことができますね。(※e-Tax による電子申告、又は電子帳簿保存を行う場合)

参照元:国税庁

確定申告を青色申告で行うための手続き

フリーランスや個人事業主となったら、早めに税務署で以下の手続きを行いましょう。

個人事業の開業・廃業届出書

独立をして仕事を始めたなら、近くの税務署に行き「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。(※インターネットでも提出可能)

提出する場合は、職場となる住所を管轄している税務署で届け出ます。

持ち物は、開業届と身分を証明するものを準備しましょう。

開業届は、こちらからダウンロードできます。

参照元:国税庁

青色申告承認申請書

開業届と同時に提出しておきたいのが、青色申告承認申請書です。

確定申告で青色申告を行うには、開業から2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請手続」をする必要があります。

この手続をしない場合は、青色申告ができず白色申告で行うことになるので、独立すると決めたらすぐに提出するようにしましょう。

所得税の青色申告承認申請書は、こちらからダウンロードできます。

参照元:国税庁

フリーランスが確定申告をするメリット

フリーランスの人が確定申告を行うことで、どのようなメリットがあるか解説します。

メリットを知れば面倒な確定申告も、した方が得だということがわかります。

  • 控除で節税できる
  • 還付金をもらえる場合がある
  • 確定申告の控えがいろいろと役立つ
  • 青色申告では赤字でも3年間繰り越すことができる

控除で節税できる

確定申告では、さまざまな控除を受けられるので節税に繋がります。

控除を利用すると、一定の金額を差し引くことができ、納税額を減らせるので出ていくお金をセーブできます。

さらに、電子申告(e-Tax)、または電子帳簿保存を行うことで、10万円の追加控除も受けられるといったことも利点です。

参照元:国税庁

還付金をもらえる場合がある

フリーランスになった年に確定申告をすることで、還付金が返ってくる可能性があります。

確定申告は、毎年1月1日から12月31日までに得た収入や経費を申告するものです。

もし、期間の途中から独立した場合、勤めていた会社は退職した年の年末調整を行いません。

ですから、自分で確定申告することで所得税の還付金をもらえる可能性があります。

確定申告の控えがいろいろと役立つ

フリーランスになると、信用度が落ちるというデメリットがあります。

会社員のときは、クレジットカードの発行やローンの審査も比較的とおりやすいのですが、独立したばかりだと売上も安定していないために、世間的な信用が低く、契約関連で苦労することがあります。

そんなときに、確定申告の控えが役立ちます。

確定申告の控えがあれば前年の業績が一目でわかるので、しっかりと事業の経営ができていれば、確定申告の控えが収入証明となり審査がとおりやすくなります。

青色申告では赤字でも3年間繰り越すことができる

青色申告では、事業が赤字になっても3年間は、翌年の所得から赤字分を相殺できます。

これも青色申告にある「繰越控除」という制度が利用できるからです。

独立当初は、準備資金などもあり初期投資で費用がかさみ、結果として赤字になってしまうこともありえるので、覚えておきましょう。

青色申告で何を控除できるのか?

控除は大きくわけると「所得控除」と「税額控除」があります。

・所得控除:課税対象と成る所得金額を減らせる

・税額控除:税金そのものを減らせる

すべてを知っている必要はありませんが、いざというときに何が控除できるのかを知っておくと、無駄に税金を払わなくていいので、種類だけでも覚えておきましょう。

「所得控除」は全部で14種類

  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 寄附金控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 寡婦控除
  • ひとり親控除
  • 障害者控除
  • 勤労学生控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 基礎控除

「税額控除」は全部で5種類

  • 住宅ローン控除
  • 配当控除
  • 外国税額控除
  • 源泉徴収税額
  • 災害減免額

フリーランスに確定申告が必要な場合・不要な場合

必要な場合

事業所得が48万円以上となる場合は、確定申告が必要です。

確定申告をしなかった場合、国民健康保険や住民税は所得額をベースに算出されるため、本来よりも高い金額が課せられる場合もあります。

しっかりと確定申告をして、経費を差し引きつつ控除を利用しておけば、高い金額を課せられることもないので、忘れずに確定申告を行いましょう。

不要な場合

たとえフリーランスでも、1円も稼いでいなければ確定申告を行う必要はありません。

確定申告が必要となるのは、所得が48万円以上の場合であり、それ以下なら確定申告は不要です。

青色申告をする場合、基礎控除が48万円あるので、もし1年の事業所得が48万円だった場合、控除額を差し引くと0円になります。

基礎控除を差し引いた金額に対して税金は課せられるので、0円への課税は0円ですから、確定申告の必要はないわけです。

同じ理由で、社会保険料控除や生命保険料控除などの所得控除を行い、事業所得が所得控除の額を下回った場合、確定申告の必要はありません。

所得税の計算式

事業収入-必要経費=事業所得

事業所得-所得控除(基礎控除など)=課税所得額

課税所得額×所得税率-控除額※=所得税額(※速算表を使っての計算を想定)

所得税額-税額控除額=納付すべき所得税額

フリーランスの確定申告に必要な書類

フリーランスの人が確定申告のときに提出する必要書類をご紹介します。

  • 確定申告書B
  • 支払調書
  • 青色申告決算書
  • 収支内訳書

確定申告書B

確定申告の申告書にはAとBがあります。

フリーランスの人は「B」を選んでください。

支払調書

支払い調達とは簡単に説明すると、「誰に、どんな内容で年間いくら支払ったか」を税務署に申告するための書類です。

会社員だと1月頃に送付されるもので、確定申告の書類を作成する際に役立つこともあるので、保管しておきましょう。

青色申告決算書

青色申告決算書とは、青色申告する場合に提出する書類のことです。

帳簿の内容をもとに、損益計算書とその内訳や貸借対照表を記載します。

色申告決算書には、一般用様式と不動産所得用様式、農業所得用様式、現金主義用様式の4種類がありますが、フリーランスの場合は一般用様式を選びましょう。

収支内訳書

収支内訳書とは、とは確定申告を白色申告で行う人が作成する資料です。

白色申告で申告を行う際に確定申告書Bと一緒に提出します。

収支内訳書には、一般用用紙、農業所得用用紙、不動産所得用用紙の3種類がありますが、フリーランスは一般用用紙を選びましょう。

青色申告を行う場合は必要ありません。

フリーランスの確定申告のやり方

では、確定申告はどのように進めていけばいいのか?

ここでは、確定申告の手順を説明します。

STEP1:所得を計算する
STEP2:所得控除額を計算する
STEP3:所得額から所得控除額を差し引く
STEP4:確定申告書や必要書類に記入する
STEP5:必要書類の再確認をする
STEP6:書類を税務署に送る
STEP7:所得税を納付する(還付を受ける)

STEP1:所得を計算する

まずは、1年間の売上を計算していきましょう。仕事用の口座やクレジットカードを作り個人用と分けると計算が便利です。

次にレシートなど経費となるものを計算して所得額から引き、青色申告書にまとめます。

STEP2:所得控除額を計算する

医療費や保険料金なども含め、控除できる資料を集めて計算しましょう。

いざ確定申告のときに、どこに閉まったか忘れないように、控除となる資料やレシートなどを保管する場所を決めておくと作業がスムーズになります。

STEP3:所得額から所得控除額を差し引く

所得から所得控除額を差し引いて、確定申告の必要があるか判断しましょう。

事業開始の初年度に、大きな初期投資をしていない限りは、確定申告が必要なことがほとんどです。

STEP4:確定申告書や必要書類に記入する

これまで計算してきた、所得額や所得控除額、経費などを書類に記入しましょう。

先程ご紹介した必要書類すべてに記入することをお忘れなく。

確定申告の書類は、税務署でもらう方法と、インターネットでダウンロードする方法があります。

e-taxを利用すれば、ネットで完結できるのでおすすめです。

STEP5:必要書類の再確認をする

記入が終わったら、再度すべての書類に目を通して、各項目に記入されているか、必要な資料があるか確認しましょう。

終わったら、書類が揃っているのを確認します。

STEP6:書類を税務署に送る

すべての書類を封筒に入れて、所轄の税務署に郵送しましょう。

インターネットで確定申告する場合は、書類を送信してください。

確定申告書の提出時期は、有事により伸びることもありますが、例年、申告年度の翌年2月16日から3月15日の間です。

STEP7:所得税を納付する

確定申告を終えたら、計算で算出された所得税を納付しましょう。窓口や金融機関からの納付、e-Taxを利用した納付が可能です。また、ご利用中の金融機関の口座から納付することもできます。

還付金がある場合は、口座に振り込まれます。そして後日、ご自宅に払い戻された金額の記載されている封筒が届きます。

フリーランスが確定申告をしなかったらどうなる?

所得がありながら確定申告をしなかった場合、納める税金のほかに無申告加算税や延滞税を払わされる場合があります。

各年分の無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15パーセント、50万円を超える部分は20パーセントの割合を乗じて計算した金額となります。

引用元:国税庁
加算税 納付すべき金額50%まで 納付すべき金額50%越え
原則 15% 20%
調査の事前通知後 10% 15%
https://biz.moneyforward.com/tax_return/basic/52681/#i-7

参照元:国税庁

フリーランスになったら確定申告をしよう!

本記事では、フリーランスの確定申告について解説しました。

おさらいですが、確定申告の書類の提出期間は、原則として、2月16日~3月15日までの1か月間です。

この期間に遅れてしまうと、無申告加算税や延滞税が発生してしまいます。

せっかく、経費や控除額で税金を抑えるなら、無駄に追加料金を取られるのは絶対に避けたいですからね。

フリーランスが確定申告をすると、得が多いことがお分かりいただけたのではないかと思います。